相続について(2)

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遺産分割

遺産分割とは、共同相続の場合において、相続分に応じて遺産を分割し、各相続人の単独財産にすることです。

  • 遺産の分割の協議又は審判等(907条)
  • 遺言による分割の方法の指定(908条) 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
  • 遺産の分割の効力(909条) 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権(910条)

判例では、遺産分割により不動産の権利を取得した相続人は、登記を経なければ、分割後に権利を取得した第三者に対し、対抗することができません。

相続回復請求権

相続欠格者や本来相続人でないのに相続人を装っている者(表見相続人・僭称相続人・不真正相続人などといいます)が、遺産の管理・処分を行っている場合、相続人は遺産を取り戻すことができます。これを相続回復請求権といいます(884条)。相続回復請求権はこれを包括的に行使でき個々の財産を具体的に列挙して行使する必要はありません(大連判大正8年3月28日民録25輯507頁)。相続回復請求権は相続人またはその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅します(884条前段)。また、相続開始の時から20年を経過したときも消滅します(884条後段)。なお、清算主義でプラスの財産しか相続しない英米法では相続回復請求権は大いに尊重されていて、日本の民法との相違は大きくなっています。

相続回復請求権の適用と制限

相続回復請求権は共同相続人相互間の相続権の帰属の問題についても適用があるとされています。ただし、判例上は相続回復請求権における消滅時効の援用権者について、共同相続人が他の真正共同相続人の持分まで主張する場合は、他の真正共同相続人の持分を侵害している事実を知らずかつ自らが相続権があると信ずるに足りる合理的理由があることを要するとして(最大判昭和53年12月20日・民集32巻9号1674頁)その範囲を制限しています。

相続の承認および放棄

相続は被相続人の権利義務を相続人が承継する効果をもつものですが、実際に相続を承認して権利義務を承継するか、あるいは、相続を放棄して権利義務の承継を拒絶するかは各相続人の意思に委ねられています。ただし、相続人が921条に規定される事由を行ったときは後述の単純承認をしたものとみなされます。

相続の承認・放棄をすべき期間(熟慮期間)

相続の承認や放棄は自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内にしなければなりません(915条1項本文)。ただし、この期間は利害関係人や検察官の請求により家庭裁判所が伸長することができます(915条1項但書)。「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、相続開始の原因となるべき事実を知り、かつ、それによって自分が相続人となったことを知った時をいいます(大決大正15年8月3日民集5巻679頁)。相続人は相続の承認や放棄をするまで、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければなりません(918条1項)。

相続の承認の内容

相続人が被相続人の権利義務の承継を受諾することを相続の承認といい、権利義務の承継を受諾する範囲により単純承認と限定承認に分けられる。 単純承認は相続により相続人が被相続人の権利義務を無限に承継するものです(920条以下)。なお、相続人が921条に規定される事由(法定単純承認事由)を行ったときは単純承認したものとみなされます。限定承認は相続によって得た財産の限度で被相続人の債務および遺贈を弁済することとするものです(922条以下)。共同相続の場合には限定承認は共同相続人の全員が共同した場合に限ってこれをすることができます(923条)。

相続放棄の内容

相続を放棄した場合には、その相続に関して初めから相続人とならなかったものとみなされることになります(939条)。相続放棄は相続財産が債務超過である可能性が高い場合や、一部の相続人に相続財産を集中させたい場合などに行われます。相続を放棄する場合には被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述しなければなりません(940条)。放棄したことにより、放棄者の子へといった代襲相続は生じません。(贈与税の回避防止のため)

相続の承認および放棄の撤回および取消し

相続人が相続の承認または放棄をしたときは、以後は915条の期間内であっても撤回できません(919条1項)。ただし、民法総則および親族編に定められる取消原因があれば919条3項に定められる一定期間に取消しをすることはできます(919条2項・3項)。この場合に限定承認または相続の放棄の取消しをしようとする者は家庭裁判所に申述しなければなりません(919条4項)。

財産分離

財産分離とは、相続財産と相続人の財産が混同しないように分離、管理、清算する手続のことです。財産分離には相続債権者または受遺者の請求による第一種財産分離(941条以下)と相続人の債権者の請求による第二種財産分離(950条)があります。財産分離は941条以下に規定されているものの、実際にはほとんど利用されていません。これは、相続財産・相続人に破産原因があれば破産申立てが可能であることによると思われます。

相続人の不存時

相続人の存在が明らかでない場合、相続財産は相続財産法人となり(951条)、以下の相続人不存在確定手続がとられることになります(なお、遺言者につき相続人は不存在ですが、その相続財産の全部について包括受遺者がいる場合には、その包括受遺者に相続財産が帰属することになるので相続人不存在確定手続はとられません(最判平成9年9月12日民集51巻8号3887頁参照))。

相続財産法人の成立(951条)

第一の捜索期間
相続財産の管理人の選任とその公告(952条)。公告期間は2ヶ月(957条1項前段)で、この公告期間内に相続人のあることが明らかにならなかったときは次の捜索段階へ移ります。
第二の捜索期間
相続債権者及び受遺者に対する請求の申出をすべき旨の公告(957条1項)。公告期間は2ヶ月以上の期間で設定され(957条1項後段)、以後、債権者等との清算手続に入ります。この公告期間内に相続人のあることが明らかにならなかったときは次の捜索段階へ移ります。
第三の捜索期間
相続人の捜索の公告(958条前段) 公告期間は6ヶ月以上の期間で設定されます(958条後段)。 相続財産法人の成立から相続人不存在の確定までの期間に相続人のあることが明らかになったときは相続財産法人は成立しなかったものとみなされます(955条本文)。ただし、相続財産管理人がその権限内でした行為の効力に影響しません(955条但書)。相続人の捜索の公告期間の満了、相続人不存在の確定、除斥(958条の2により相続人、また、相続財産管理人に知れなかった相続債権者・受遺者は権利行使不可)
特別縁故者と相続財産分
特別縁故者(被相続人と生計を同じくしていた者や被相続人の療養看護に努めた者など)に対する相続財産の分は、相続財産分与請求は相続人不存在確定後3ヶ月以内になされることが必要です(958条の3)。
残余財産の国庫への帰属(959条)
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