遺贈の不成立・失効

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遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、遺贈は効力を生じません(994条1項)。停止条件付き遺贈の場合、受遺者が条件成就前に死亡したとき遺贈は効力を生じませんが、遺言者が遺言で別段の意思表示をしたときはそれに従います(994条2項)。遺贈が効力を生じなかったり放棄により効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは相続人に帰属しますが、遺言者が遺言で別段の意思表示をしたときはそれに従います(995条)。

遺贈の種類

(1)包括遺贈
遺産の全部、または一部を割合をもって示し対象とする場合です。包括受遺者は相続人と同一の権利義務を持ちます(990条)。例えば、包括遺贈の放棄は自己のために遺贈のあったことを知った日から3ヶ月以内にしなければなりません(990条・915条1項)。
(2)特定遺贈
具体的な特定財産を対象とする場合です。遺贈の放棄は、遺贈者の死後いつでもできます(986条)。特定遺贈の目的物は、遺言者の死亡と同時に直接受遺者に移転するとした判例があります(大判大正5年11月8日民録22輯2078頁)。
(3)負担付遺贈
遺贈者が受遺者に対して、対価とは言えないほどの義務を負担するよう求める場合です。受遺者は遺贈の目的の価値を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行しなければなりません(1002条1項)。受遺者が遺贈を放棄すれば、負担の利益を受けるべき者は自ら受遺者になれますが、遺言者が遺言で別段の意思表示をしたときはそれに従います(1002条2項)。負担付遺贈を受けた者が義務を履行しないときは、相続人または遺言執行者は相当の期間を定めて履行を催告でき、なお履行がないときは遺言の取消しを家庭裁判所に請求できます(1027条・1015条)。
(4)後継ぎ遺贈
「全財産を妻Xに遺贈する(または、相続させる)。ただし、子Yが18歳に達した時にはYが当該財産を受け継ぐこととする」といった、順次財産を受け継ぐ者を指定する形の遺贈を、後継ぎ遺贈といいます後継ぎ遺贈について民法は何ら定めていないため、この形態の遺贈が認められるかどうかについて解釈が定まっていません。判例は認めています(最判1983年(昭和58年)3月18日家月36巻3号143頁)が、否定説も有力です。また、仮に後継ぎ遺贈が認められるとしても、相続開始後に法的状態の不安定化および手続上の煩雑さといった弊害を生むことになります。2007年9月30日に施行された現行信託法においては、新たに後継ぎ遺贈型受益者連続信託が認められています(信託法3条2号・88条1項・89条2項)。これにより、後継ぎ遺贈と同様の効果を得ることができます。ただし、この場合の相続税の課税関係については明らかになっていないため、注意が必要です。

遺贈関係人

受遺者

胎児は、遺贈については既に生まれたものとみなされます(965条・886条)。つまり、受遺能力があります。また、受遺者には相続の場合と同様に欠格事由がないことも必要です(965条・891条)。受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができます(986条)。受遺者が遺贈の放棄または承認をせずに死亡したときは、その相続人は自己の相続権の範囲内で遺贈の承認または放棄をすることができますが、遺言者が遺言で別段の意思表示をしたときはそれに従います(988条)。

遺贈義務者

遺贈を履行する義務は、原則として相続人が負う(第896条)。包括受遺者も遺贈を履行する義務を負います(990条・896条)。相続人のあることが明らかでない場合には相続財産の管理人が(957条1項)、遺言執行者がいるときはその者が遺贈を履行する義務を負います(1012条1項)。不特定物を遺贈の目的とした場合、受遺者が第三者から追奪を受けたときは、遺贈義務者は売主と同じ担保責任を負います(998条1項)。また、目的物に瑕疵があったときは、遺贈義務者は瑕疵のない物と代えなければなりません(998条2項)。

遺贈の不成立・失効

遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、遺贈は効力を生じません(994条1項)。停止条件付き遺贈の場合、受遺者が条件成就前に死亡したとき遺贈は効力を生じませんが、遺言者が遺言で別段の意思表示をしたときはそれに従います(994条2項)。遺贈が効力を生じなかったり放棄により効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは相続人に帰属しますが、遺言者が遺言で別段の意思表示をしたときはそれに従います(995条)。

登記に関する判例

遺贈により所有権が移転した場合、登記をしないと第三者に対抗できません(最判1964年(昭和39年)3月6日)。一方、相続人の一部に対して特定の遺産を「相続させる」旨の遺言によって不動産を取得した者は、その権利を登記なくして第三者に対抗できます(最判2002年(平成14年)6月10日判時1791号59頁)。

遺言書の記載と登記原因

原則

遺言書の文言に従い、登記原因を決定します。その分類は以下の通りです。

  • 相続人全員に対して「特定遺贈する」旨の遺言については「遺贈」(1983年(昭和58年)10月17日民三5987号回答)
  • 相続人の一部に対して「相続させる」旨の遺言については「相続」(既述判例参照)
  • 相続人の一部に対して「遺贈する」旨の遺言については「遺贈」(特定遺贈につき1973年(昭和48年)12月11日民三8859号回答)
  • 相続人以外の者に対して「遺贈する」旨の遺言については「遺贈」(相続人でない者が相続をすることはできない)

例外

相続人全員に対して「包括遺贈する」旨の遺言については、登記原因は「相続」とします(1963年(昭和38年)11月20日民甲3119号電報回答)。また、相続人以外の者に対して「相続させる」旨の遺言については、相続人でない者が相続をすることはできないので、登記原因は「遺贈」となります(登記研究480-131頁)。

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